「新生活がスタート出来ない!」繁忙期の引越し業者不足による、引越し難民の実態

引越しに悩む女性 生活

日本では春と秋に、人事異動による引越し増加の傾向があります。

特に春は、大学進学や就職に伴った引越しが急激に増加します。そんな中、ここ最近急に眼にする回数が増えた「引越し難民」という言葉。

これは一体何をさし、どういう状況を言うのでしょうか?

引越し難民とは

今までも繁忙期である春の引越しは、閑散期の引越しに比べると割高になる傾向がありました。

それは引越しが集中することによりトラックの準備や人手不足が起きてしまうため、業者側が人件費の確保や引越しが重なることでのオーバーワークに対するスタッフへの報酬支払が必要になるといった背景で費用が加算されることから、必然的に割高となってしまっていたのです。

しかし、2018年頃から「割高」を通り越して「引越しが出来ない」という深刻な事態が発生するようになってしまいました。

こうした「引越ししたいのに、引越し業者が不足していて引越しが出来ない」という人達のことを「引越し難民」と呼ぶようになったのです。

引越し難民増加の背景と原因

上記のような仕組みがあるにせよ、今までは「割高」程度でも確実に引越し出来ていたのに、何故2018年以降から急に「引越し難民」が増加してしまうような事態にまで発展したのでしょうか?

その背景には、複数の原因が多重に絡み合っています。まず根底にあるのが、厚労省が取り組んでいる働き方改革によって、大手引越し業者である「アート引越センター」が「3月下旬~4月上旬における受注件数を前年比より2割減にする」と発表したことから端を発しています。

2割減とひとえに言っても、仮に500人の引越し申し込みがあったとしたら、400人までしか受注しない、ということになります。そうした場合、残ってしまった100人はどうなるのか──と言えば、当然「他の会社に申し込みせざるを得ない」ということになります。

しかし、繁忙期に人員不足や労働が苛酷になるという傾向は他社にも充分言えることなので、他社においても過剰供給になることは充分に考えられる状況です。すなわち、他社において100%の全力で乗り切っていたところを、100%「以上」で乗り切らなければならないという厳しい状況が発生することになります。

そうした状況に加え、2018年7月には大手引越業者であり受注率の高かったヤマトホームコンビニエンスが顧客に過大請求していたことが明るみになり、引越し事業を停止したことから問題に余計拍車をかける状況となってしまったのです。

幸いにも2020年春から引越し事業再開となりましたが、以前は受注トップクラスにあり、かつ「単身者向け引越しサービス」が充実していたヤマトホームコンビニエンスの事業停止は、かなりの痛手でした。この痛手を取り返し、軌道にのるまでは…まだしばらく時間がかかってしまいそうです。

一方、引越し難民となってしまう背景には前述したような「業者不足の問題」だけでなく、引越し費用が「割高」を通り越して「高騰」してしまったことも原因の一端を担っています。

例えば、参考までに2019年3月末~4月上旬における引越し費用を閑散期(通常期)と比較した場合、単身引越しでは77,257円、家族の引越しにおいては106,454円~125,989円の金額差が生じてしまっていました。単身引越しで見た場合、閑散期は31,259円と大体3万円前後の費用で済みますが、繁忙期では108,516円かかる、ということになります。大学生として新生活をスタートする前に7万円の差額は…かなり厳しい金額と言えます。

この金額高騰も、結果的には前述したような引越しする需要と比べて、供給する側である引越し業者が不足していること、および、不足を補うために人材補填をする際の経費がかかっていることから発生しています。

このように、引越し難民が増加してしまう背景には日本における引越し業者の不足や、不祥事の発生により一時的に引越事業を停止した業者があるなど、様々な原因が複雑に絡み合って起きています。

では、こうした現象に巻き込まれないために──或いは、今後春の引越しにおける需要過多な状況はどのように改善されていくのでしょうか?

まとめ

現状から言って、業者不足による改善策は今のところ「想定できない」と言えます。そのため、国土交通省は、対策として「引越し時期の分散」を呼び掛けています。

とはいえ、転勤や就職に関する引越しの場合には、どうしても3月末頃に引越しが必要というケースも多いことでしょう。その場合は、引越し費用高騰対策としてどの業者もやっている早割を利用するなどして、早めに申し込みをしてしまうことをお薦めします。

しかし大学進学の場合には、合格発表が2月中旬以降、場合によっては3月以降になってしまうので、早割利用も引越し時期分散対応も困難となることが見込まれます。その場合には、最低限必要な荷物だけを引越し先に宅配サービス、或いは車で運んでしまい、その他の荷物は閑散期に入る4月中旬以降に引越し業者にお願いするなど、2段階で対応することをお薦めします。

引越し事業者増加が想定しづらい以上、個人で対策して「難民防止策」をとることが一番の最善策といえるでしょう。